二輪車「路上駐車スペース」導入へ

アンダーバー

1月4日、改正道路法施行令が施行された。自転車や二輪車などの駐車器具を道路占用物件として許可対象に追加したことで、道路管理者および警察の許可を得れば、地方公共団体をはじめ民間レベルでの二輪車路上駐車場の設置管理が可能に。同時に、占用許可基準も示され、歩行者に配慮した安全な空間を確保しなければならないなど、設置場所や駐車器具などの構造についても示された。新宿区は二輪車などの路上駐車スペースを社会実験しており、利用動向や効果的な整備手法を検討。法令改正で、路上駐車スペースの導入が広がるよう期待されている

二輪車「路上駐車スペース」導入へ

二輪車駐車場を“道路の占用物件”として許可

駐車違反の取締りが強化されている昨今、二輪車の駐車場が非常に不足しており、ユーザーを窮地に立たせている。昨年、駐車場法が改正されて、二輪車を受け入れる駐車場は今後増えていくと見込まれるものの、十分な収容力を確保するためには、さまざまな対策が必要だ。
 そうしたなか、今年1月4日、改正道路法施行令が施行された。これは、自転車や原付、自動二輪車の駐車場を、路上に整備できるようにした法令で、この制度を活用して二輪車の駐車スペースが街なかに点在することになれば、駐車場不足は画期的に改善されるものと期待できる。


道路法には従来、路上駐車場についての規定があり、これを設置できるのは道路管理者とされている。具体的には国土交通大臣、都道府県知事、市区町村長が、それぞれ管理している道路に限り路上駐車場を設置・管理できるというものだ。このため、例えば市区町村では、国道や都道府県道に路上駐車場を設置することはできない。通常、地域のニーズに応じて実際に自転車などの駐車場整備を行っているのは市区町村であり、この制約はことのほか大きく、これまで道路上に自転車や二輪車の駐車場を導入することは、まず困難だった。

今回の法令の改正は、地方公共団体をはじめ民間企業・団体など、道路管理者以外の者でも道路上に自転車や二輪車の駐車場を整備できるようにしたのがポイント。国土交通省道路局路政課ではその改正内容を次のように説明する。
「そもそも道路は、人やクルマの通行空間であり、道路自体は道路管理者が作って管理しています。しかし現実的には、電柱や郵便ポスト、公衆電話など、道路管理者でない者が工作物や施設などを路上に設置することがあります。道路法では、こうした工作物などを設置し、継続して道路を使用することを“道路の占用”といっており、道路管理者がそれを許可すれば行うことができます。ただし、許可できる占用物件は法令で定めてあり、今回の政令の改正では、その占用物件に、自転車や二輪車を止めるのに使う車輪止め装置など駐車器具を追加したのです。これによって、道路管理者以外の者でも、国道なり都道府県道なり管理者の許可を得ることで駐車器具を道路に設置できる、つまり二輪車などの路上駐車場の設置管理が行えるようになりました」とのこと。

設置者として想定されるのは、地方公共団体(主に市区町村)をはじめ、公益団体、公共交通事業者(鉄道、バス)のほか、駐車場を適切に管理運営できる商店街、企業、NPOなど、対象範囲は広い。とはいえ、「これはあくまで違法駐車対策のために一般公共の用に供するものであり、営利目的のものとは異なります」と、路政課は説明をつけ加えている。

二輪車路上駐車場のイメージ

二輪車路上駐車場のイメージ(国土交通省提供)注:車止め装置などは描かれていないでは、この占用制度を活用することによって、具体的にはどのような駐車場ができるのか。
物件として認められ、路上に設置される駐車器具としては、車輪止め装置、柵、上屋(屋根)、照明器具、案内板、自動精算機などが想定されている。そして、これらが道路上に設置される場合、歩行者や自転車の安全円滑な通行の妨げとならないよう配慮する必要があり、今回の改正では設置の場所や構造などについて占用許可基準も示された。
これによると、駐車場を設置できる場所は、車道以外の道路の部分(分離帯やロータリーなどは不可)となっており、なおかつ車道に近接する部分に設けること、歩道の幅員を確保することなどが条件となっている。
また、駐車器具の構造などについては、「固定され、安全性と耐久性を備えており、周囲の環境と調和するもの」とし、道路標識、区画線、道路標示を設けるほか、歩行者保護のための柵を設置したり、必要に応じて照明器具を設けるなど、安全な空間を確保することとなっている。さらに二輪車の駐車場の場合、原則として車道側から進入する構造にするよう決められている。二輪車の駐車器具に関する構造を定めた占用許可基準(国土交通省道路局通達より)
なお、この占用許可基準のほか、国土交通省道路局地方道・環境課が「路上自転車・自動二輪車等駐車場設置指針」を作成しており、これには原付や自動二輪車の駐車枠の大きさが具体的に盛り込まれるなど、駐車場設置者が参考にすべき設計指針が示されている。
これらの基準や指針を踏まえると、実際に導入される二輪車路上駐車場のイメージは、広い歩道のある場所で、バス停留所のように歩道をえぐった形でレイアウトされ、なおかつ歩道との境界を柵で分離した構造となる。これに、通常は車輪止め装置などが設置される形態になりそうだ。
(※上画像をクリックすると拡大画像が表示されます)

路上駐車スペースの社会実験を実施――新宿区

新宿で行われた社会実験こうした路上駐車場のあり方について、いち早く社会実験を行った自治体がある。新宿区と東京都、新宿警察署は協力して、昨年12月5日から24日までの20日間、「道路空間の再配分による自転車等の駐車スペース確保・整序化実験」を実施した。これは、国土交通省道路局の社会実験制度に公募して選定された事業で、自転車と二輪車の路上駐車空間のあり方について、今回の道路法施行令改正を視野に入れて検討したもの。
具体的には、区内の2カ所で、仮設の柵などを設置して歩道上に自転車と二輪車用の駐車スペースをそれぞれ設け、供用を試みた。これによって、利用者の動向を把握するとともに、駐車スペースの設置方法や構造形態について、安全で効果的な整備手法を探るなどした。
新宿区環境土木部道とみどりの課課長の柏木直行さんは、「駐車場法改正、道路法施行令改正と、状況は大きく動いていると感じます」と、まずは昨今の二輪車の駐車対策の必要性について心境を話した。
同区では、新宿駅周辺など、歩道上に置かれている原付や自動二輪車が多く、歩行者の良好な通行環境や街の景観を損ねているとの問題意識がある。柏木さんは、「本来なら道路外に二輪車の駐車場を増やし、そこに収容するのが理想的ですが、即効的な対応としては、路上駐車スペースの導入も現実的な選択肢として考えなければなりません」という。

歩行者の通路を確保したうえで、歩道に駐車スペースを設置した。とくに二輪車の駐車器具が道路占用物件に追加されたことについて、「これは大きな進歩です。路上駐車場を作ろうと考えた場合、設置基準に照らすと、区道には適した場所がまったくといってありません。可能な道路のほとんどが国道や都道です。そうした道路を借りることができれば、駐車場整備の可能性は広がります」とのこと。社会実験の結果については現在とりまとめ中だが、駐車場の構造に関しては、車道から駐車枠への二輪車の出し入れをどう行うか、歩行者の通行空間との分離構造をどう行うかによって、設置可能な場所が限られたり、整備コストにも大きく差が出てくると指摘する。また、利用者の使い勝手や周辺への影響など、メリットや課題も整理する予定だ。
柏木さんは、「駐車需要はかなりありました。収容台数は2カ所とも自転車30台、自動二輪車13台としたのですが、朝早くから満車状態になります。無料で供用しましたが、『お金を払ってもいいから止めるところを作ってほしい』という声が多かったようです」と、実際に整備した場合の手ごたえもつかんでいる様子だ。


駐車場不足の早期解決に期待

道とみどりの課・柏木さんさて、現在想定されている二輪車路上駐車場を設置するとなると、道路の掘削などある程度の土木工事が必要で、設置者にはそれなりの予算の確保が求められる。また、道路の占用料として、「占用面積1平方メートル1年につき、近傍類似の土地の時価に0.018を乗じて得た額」も発生する。
そうした負担はあるものの、現実問題として、路外に駐車場用地を確保して新しく二輪車駐車場を整備するのは極めて難しい情勢であり、道路空間を利用して駐車需要に対応できるように法令を整備したことは、大いに意義がある。
路政課では、「二輪車の路上駐車場は、もっぱら広い歩道の一部を使って設置されることになると考えられますが、確かに、広さに余裕のある場合に限られるという難点はあります。駐車需要に応じて、条件にかなう場所を見極め、設置を検討するようにしてほしい。申請があって許可していけば、路上の駐車場は増えていくと考えています。放置車両問題の早期解決を図るためにも、制度が適正に活用されるよう期待しています」と話している。

MotorcycleInformationバックナンバー

夏のバイクシーズン到来!バイクを思いきり楽しむイベントの数々
東日本大震災・復興への第一歩  被災地に二輪車の機動力を活かす
自治体が続々とプロジェクトを開始 電動バイク普及へ
「スクーター大国」台湾~最近の二輪車事情
二輪車「路上駐車スペース」導入へ
バイクの運転トレーニングは楽しい!近ごろ人気のライディングスクール