バイクの運転トレーニングは楽しい!近ごろ人気のライディングスクール

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バイクの運転スキルを上達させることを目的にした講習会やライディングスクールの人気が高まっている。警察と二輪車安全普及協会が主催するグッドライダーミーティングは、関東などを中心に開催され、「トレーニングが楽しい」「安全なバイクライフのヒントになる」と大好評。最近はネットを通じて参加者が広がっている。ほかにも、巷ではさまざまな講習会が開かれているが、モータージャーナリストが独自の視点でアドバイスするものや、女性に限定したスクールなど、特色のあるものに人気が集まっている。

バイクの運転トレーニングは楽しい!近ごろ人気のライディングスクール

運転トレーニングを楽しむライダーたち

人気のある講習会は教室も満席だ近ごろ、バイクの安全運転講習会(ライディングスクール)が賑わいを見せている。警察署や交通安全協会が実施す る講習会のほか、二輪車メーカーや自動車教習所、サーキット、ボランティアグループなど、さまざまな機関・団体が開催しており、申し込みが殺到して予約を取るのが難しいスクールもある。
人気の理由は、バイクの運転トレーニングはそれ自体が楽しく、充実感が得られること。ライダー同士の交流の場になっている点も魅力だ。最近とくに人気のある特徴的なスクールをいくつか覗いてみた

苦手な波状路でアドバイスをもらう
東京都の府中運転免許試験場に、朝早くから続々とバイクが集まってきた。警視庁交通部と東京都二輪車安全普及協会の主催による安全運転講習会「グッドライダーミーティング」(Gミーティング)に参加する人たちで、この日は73人が集まった。 受け付けを済ませた参加者は、技量別に分かれて講習を受ける。指導するのは女性白バイ隊員とボランティアの二輪車安全運転指導員で、受講者は車両の安全点検の仕方と、正しい乗車姿勢についてレクチャーを受けたあと、さっそく運転の実技トレーニングに取りかかった。 試験場のコースには、制動、バランス、コーナリングなど、基本的なライディング技術の習得に必要なセクションが設 けてあり、受講者はそれぞれ指導員のアドバイスを受けながら、ブレーキングや一本橋、波状路、パイロンスラロームな ど、昼休みを挟んで夕方までみっちり課題に取り組んだ。どのライダーも真剣そのもので、苦手なセクションでは白バイ隊員に乗り方のコツを熱心に尋ねるなど、積極的にトレーニングに励んでいた。 感想を尋ねると、「客観的に欠点を指摘してもらえたのがためになった」「白バイ隊員の技術が参考になって、視野が広がった」「二人乗り体験をして、後ろに乗る人の状況や気持ちが理解できた」など、どのライダーも自分に役立つヒントをつかんだようだった。 ほかにも、「安全運転講習がこんなにたくさん走るものとは知らなかった。いい運動になった」とか、「ライディングに集中できて、爽快な気持ちになった」など、受講者の充実した様子が伝わってくる。

人気が広まり始めたGミーティング

ていねいにコツを教える指導員このGミーティングは、二輪車の交通事故防止を目的に、各地の二輪車安全普及協会(二普協)が地元警察や交通安全協会・二輪車安全運転推進委員会(二推)と協力して、各地の実情に合わせて毎年2~6回開催しているもの。1991年に東京都二普協が初めて実施し、その後、関東を中心に広まり、今では栃木、群馬、茨城、埼玉、千葉、神奈川、新潟、山梨、長野でも開かれている。昨年は各地で合計して28回開催され、延べ1,143人が受講した。今年は合計30回の開催が計画されており、約1,500人の参加が見込まれる。
今年4月から、上記1都9県のGミーティングを統括して推進している関東二輪車協会事務局の西方勇さんは、「最近の傾向をみると、とくに東京では初参加の受講者が増えています。一昨年は全体の15%程度でしたが、昨年は34%を占めるまで伸びました。ネットで情報を検索して申し込んでくるケースが増えており、講習会の認知度が高まっているからだと思います」と話す。
ここ数年Gミーティングでは、講習レベルを「ビギナークラス」と中級者向けの「ベーシッククラス」とに分け、初心者が参加しやすいように配慮している。西方さんは、「運転に自信のないライダーが、不安なくバイクに乗れるようになってほしくて始めた講習会ですから、初参加者の割合が上ってきているのは嬉しいことです。今後もさらにGミーティングを広めていきたい」と話している。
注:関東二輪車協会の統括する1都9県以外に、岩手、宮城、愛知、大阪、広島の二普協もGミーティングを行っている。

さまざまなスクールが数多く開催されている

さて、Gミーティングのほかに、巷ではさまざまなライディングスクールが開かれている。警察主導のものでは、警視庁が定期的に開催している「二輪車交通安全教室」(月4回)と「セーフティーライディングスクール」(2カ所・月2回)が 人気だ。都内ではこのほかにも警察署単位で講習会が企画されており、ライダーが講習を受ける機会は豊富にある。また、神奈川県警でも「二輪車安全運転講習会」を年に10回程度行っている。
一方、国内二輪車メーカー4社も、ユーザーサービスの一環として、それぞれライディングスクールを企画して実施している。とくに近年は、「大型バイクを自由に乗りこなしたい」というユーザーが増えており、主に中級~上級者がスポーツ感覚で参加してライディングを楽しんでいる。
また、最近増えている中高年ライダーのうち、「再び乗り始めた」といういわゆる“リターンライダー”を対象にしたスクールも開かれており、年配の初級者を対象に人気が出てきている。


●メーカー系のライディングスクール(主に中級~上級向け)
・カワサキKAZEグッドライダーズスクール…0120-100-819
・スズキセイフティライディングスクール…053-440-2172
・ホンダスーパースポーツライディングスクール…03-5949-3433
・ヤマハYRSライディングスクール…0537-24-5195
●メーカー系のライディングスクール(ビギナー・リターンライダー向け)
・カワサキライディングスクールペーパーライダー科…http://www.kawasaki-rs.com/etc_school/
・ホンダモーターサイクリストスクール(初級コース)…http://www.honda.co.jp/safetyinfo/HMS/mschool.html

ほかにも、自動車教習所やサーキットなど広いコースを所有する施設のなかには、年に数回、独自のライディングスクールを開催しているところがある。こうしたスクールの一部では、初心者から上級者までレベル別に指導したうえで、トレーニングの仕上げには、コースを目一杯使って、高速スラロームやサーキット走行を楽しめる点が魅力の一つになっている。
さらに、民間の運転教育機関である「交通教育センター・レインボー」や、独自にスタッフを集めて講習会を運営している民間グループなど、プロ集団が有料で開いているスクールもある。こうした講習会も、それぞれノウハウを工夫しており、ていねいで分かりやすい指導が高い評価を得ている。
また、最近の二輪車ユーザーの変化に応じて、ユニークな工夫をもった講習会も注目されている。たとえば、著名なモータージャーナリストとツーリングをしてスキルアップを図ったり、受講対象を女性にだけ限定して行って、高い人気を呼んでいるものもある。そうした特徴のあるスクールを次にみてみたい。


新しい発見がある――ライディング・アート・スクール

ライディングフォームを指導する柏さん(右) 「ライディング・アート・スクール」(RAS)は、2003年にモータージャーナリストの柏秀樹さんが開校したバイク講習会。柏さんを“校長”に、経験豊富な二輪専門誌ライターなどのインストラクターと、事務局スタッフとで運営している。
 スクールのスタイルは、ホームページで講習会のスケジュールを案内して、そのつど参加者を募集する形式。毎回、ブレーキングやコーナリングなど重点テーマを決めてトレーニングを行うため、受講希望者は、必要なカリキュラムを選んで参加したり、連続して受講することで総合的なスキルを身につけることもできる。
 会場は都内または千葉県内の自動車教習所のコースを借りて行う講習のほか、トレーニング・ツアーといって、柏さんと一緒にツーリングに出かけ、高速道路やワインディングロードを走行 しながら、実際の場面に必要な運転技術を効率良く学べるコースもある。ほかの講習会にはないRAS特有のカリキュラムだ。
RASに参加した尾澤さんRASの参加者、尾澤宏行さん(42歳)は、渋谷区に住む歯科医師。一昨年、大型二輪免許を取得して、排気量1,000ccのスポーツタイプを購入したという。「40歳になってやっと余暇が出てきて、さっそく免許とバイクを手に入れたんです。そしてだんだん慣れてきたころに、ヒヤリとする場面に出あって、安全に運転できるテクニックを身につけたいと思うようになったんです」と、スクールに参加したきっかけを話す。
 すでに3回受講しており、講習はとても楽しく、非常にためになるという。「柏さんのアドバイスのおかげで、毎回、新しい発見があるんです。安全運転はこうでなければならないといったガチガチの考えが払拭されて、バイクと対話するのを楽しむように、リラックスして柔軟な運転をすることがいかに大切か、気づいたような気がします」と尾澤さん。仕事を離れてRASに参加することで「気持ちもリフレッシュできます」と大満足の様子だ。
柏さんは、「ハンドルの握り方一つで、操作のしやすさやバイクの挙動がかなり違ってきます。このスクールでは、どんな道路環境にも生かせる知恵を多くのライダーに伝えたいのです。運転中に意識して呼吸することで、余分な力がスッと抜けます。するとバイクも自然にスッと曲がります。簡単なことなのに、なかなかこれが難しい」と、独自のライディング理論を交えながら、安全で上手な運転のコツを教えている。
“ライディング・アート”という言葉には、受講者が教わったことにとどまらず、自ら創造してクリエイティブであってほしいという気持ちを込めた。そういう自由な雰囲気も、このスクールの人気の秘密といえそうだ。

女性ライダーの夢をサポート――チームマリ

チームマリのスクール風景1989年以来、女性ライダーのスキルアップを目的に開かれているのが「チームマリ・モーターサイクル・レッスン」。女性を対象に年間約20回(各定員30人)スクールが開かれており、最近、ますます参加者が増えている。
主催の「チームマリ」は、80年代に全日本ロードレースで活躍した井形マリさんと、世界グランプリにフル出場した経歴もある妹の井形ともさんを中心に、30人以上の女性インストラクターが協力して運営している。今年は、基本走行をトレーニングする「チームマリ・モーターサイクル・レッスン」(TMM)を年間15回と、つくばサーキットを会場にして、中高速走行に重点を置いた「ビューティ・サーキット・レッスン with チームマリ」(BCL)を3回、ほかにも数回の講習会を行う予定だ。
参加者の数は、これまで年間500人前後で推移してきたが、それが2005年と06年には約700人に増えている。近年は、男性と同じく女性ライダーの年齢層も上っていて、いま、TMMやBCLの受講者の約半数は40代。しかも最近は、40歳を過ぎてから大型二輪免許を取ったというような人が増えていて、そうした人たちが新しくスクールに入ってきているという。

●年齢層別の大型二輪免許交付件数・女性(新規+併記)/警察庁調べ
年齢層別の大型二輪免許交付件数・女性(新規+併記)/警察庁調べ
















マリさんは、「スクールに参加している女性のなかには、経済的に余裕があり、旅行やフィットネスクラブでは飽き足らず、生き甲斐や夢といったものを大型バイクに求める人も多いんです。女性が40歳を過ぎてから大型二輪免許を取るなんて、一昔前には考えられないことでしたが、今では珍しいことではなくなりました。ただ、免許を取って憧れの大型バイクを購入したものの、いざ公道を走るとなると難しさを感じる人もいます。そういう女性たちをサポートして、末長くバイクに親しんでほしいなと、受講生たちを見ていて思います」と話す。
現場でレッスンを指揮しているともさんは、「トレーニングでは、なるべく長くバイクに触れてほしい反面、女性の場合は休憩時間も大事なんです。参加者同士でおしゃべりしているうちに、励まされて自信が出てきたり、一緒に走る約束をしたり、このスクールが交流の場にもなっているんです」という。女性の体力や指向性にあわせたトレーニングを行うのが効果的だと話す井形さん姉妹。チームマリの役割は、ますます重要なものになっていきそうだ。

スキルアップとマナーアップを呼びかけ

スキルアップを訴えるチラシここまで見てきたように、国内ではライダーを対象に、さまざまな安全運転講習会やライディングスクールが開かれている。運転のスキルを上達させることは、ライダーのゆとりとなり、危険を未然に回避することにつながる。こうした講習会に多くのライダーが積極的に参加して、安全で楽しいバイクライフを送ってほしいものだ。
 (社)日本自動車工業会など二輪車関係団体では、この春、二輪車イベント会場や販売店の店頭で、ライダーに「運転のスキルアップとマナーアップを!!」と呼びかけるチラシを配布している。主なライディングスクールの名称と問い合わせ先を盛り込んで、さらなる参加促進を図っている。また、同時にマナーアップも呼びかけ、高速道路の走行では周囲に思いやりを持つこと、ヘルメットを正しく着用すること、車両の点検整備を怠らないことなども、このチラシは呼びかけている。


●問い合わせ先

警視庁
 電話
関東二輪車協会(Gミーティング) 電話 03-3971-0022
チームマリ 電話 029-839-2160
(社)日本自動車工業会 交通統括部 電話 03-5405-6123

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